※うつ病の治療中にインターネットをする方へ※
インターネット上では楽しい対話だけでなく,時にはネット・トラブルに発展することもあります.トラブルに遭遇した場合,どうやって緊急避難するかが大事です.ストレス・マネジメントの点では,強制的にメンタルトレーニング状態になります.トレーニングと考えればトラブルに出会っても,自分試しのチャンスが来たと考えてもいいでしょう.
ただし,無謀な深入りは危険です! 精神衛生的に悪い影響がある時は,ネットを休みましょう.
インターネットをするならば,現実の社会でも通用するよう,下記で挙げるインターネットのエチケット・マナーはきちんと守りましょう.対人関係でのトラブル回避は,バーチャルでもリアルの世界でも求められるスキルです.
そして何よりも,個人情報につながる書き込みをネットではしない事.
インターネットが原因で事件に発展しているニュースもあることを忘れてはなりません.
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マナーを守って,対人トラブルは回避しましょう |
ブログやSNS(ツイッター・Facebook・インスタグラム・mixiなど),他のサイトさんの掲示板など,インターネット上には多くの出会いがあります.
ご覧の皆さんは,ネットのマナーやエチケット(ネットにおけるエチケット=『ネチケット』)をどれだけ把握してらっしゃるのでしょうか?
<インターネットのメリット>
★共通点のあるネットコミュニティでは,仲間意識が芽生えやすい.
★趣味の輪が広がりやすく,出会いの機会も広がる.
★普段と違う楽しみができ,毎日が新鮮になる.
★人に言えない悩みを相談できる.
<インターネットのデメリット>
★文章による誤解が生じやすい.
★ネット依存で生活リズムが崩れる.
★言葉不足から認識のズレが生じて,感情的な衝突もある.
★みんな良い人とは限らない.ネットの顔は,その人の一部でしかない.
★言葉の伝わり方がダイレクトになりやすく,思わぬ言葉で傷ついて(つけて)しまう.
<インターネットのマナー:初級>
★初めてコメントするときは,簡単な自己紹介をする.
★コメントをするときは,原文をしっかり読み,先入観だけで書き込まない.
★文章が長いと読みづらいので,改行や空行,括弧や記号を上手に使う.
★コメントにレスがあったら,お礼をする.ありがとう!の一言は誰にとっても嬉しいことです.
★誤解が生じたら,丁寧に語弊があったことを謝る.そして訂正する.誠意を見せましょう.
★話題が加熱しているところには,無理に飛び込まない.
★些細な言葉で,相手も自分も,傷つくことがあります.言葉はよ〜く選びましょう.
★一方的に相手の意見を否定するのは,ちょっと待って.よくよく相手の意図を読み取って,論争は避けましょう.
★他所の掲示板を例にあげて,他所のルールを押し付けない.他人の掲示板を私物化しない.
(同じテーマでも【ルール】も同じとは限りません.各管理人によって異なるので要チェック!)
★掲示板などメールアドレスを記入する欄がありますが,むやみに入力しない方がいい.個人情報は慎重に!
(私は掲示板にアドレス掲載していたら,誹謗中傷メールが来た事があります)
★ネット上では多くの人が見ています.個人特定につながる情報は公開しない.
さて初級マナーを確認したところで,うつ病などの治療中の方にお聞きします.
もし,あなたがコメントを書き込んで,想像もしていなかった厳しい反論が来た時,あなたは冷静にリカバリー対応ができますか? 相手が単に誤解をしているだけでも,ショックの大きさに『訂正』というコミュニケーション・リカバリーもできずに,落ち込んでしまう事も有りえます.逆に,相手の言葉遣いひとつで,こちらが怒り・苛立ちを覚えるケースもあります.
特定のネットコミュニティでメンタルヘルスに理解のある人が集まっていたとしても,『活字』中心のネットコミュニケーションでは,上記のような意思疎通の誤解から大きなトラブルを招くことが多々あります.
うつ病の症状を悪化させる可能性もある世界が,インターネット,画面越しのバーチャル世界でもあります.なので無理は禁物.ネットで疲れるくらいなら,いっそ一気にネット断ちした方が,むしろ健康的な生活を送れるでしょう(実際,私自身もネット時間を制限しています).
それでもあえてネットをするならば,何か自分を高める事を心掛けましょう.困難なシチュエーションも想定内であると心掛けること,ネチケットや相手を思いやる心の余裕を作ること.画面越しであってもそこにいる人との対話で,トラブルにならない付き合い方が出来るようになること.それがリハビリ効果として得られる技術でしょう.
ネットで1番大事なのは,人とトラブルにならないお付き合い・コミュニケーション技術を育てることです.不愉快だからと議論・反論すれば,全て解決する訳でもありません.相手の意図することを客観的に判断し,思いやりのある言葉で対応していきましょう.
ネット発の事件のいくつかは,誹謗・中傷を受けたからと言ってその仕返しをするケースですが,その中傷返しは逆効果でしょう.どれだけ冷静に,自分と他人を見つめることができるか.自分の意見をネット公開する場合,場を選び,不快でない言葉選びが大切です.ネットは無言の閲覧者が多数います.ご自身の一挙手一投足から,『この人物はどんな人だろう』と見られている事を忘れてはなりません.
トラブル発生となるとパニック発作も出る可能性もおおいにあります.時には苛立ち症状が出て睡眠障害が悪化したり,数日寝込むくらいの衝撃が来ることもあるかもしれません.ただ実社会にもコミュニケーション・トラブルは発生します.何より辛いのは現実社会には,メンタルヘルスに理解のない人が多数いる事でしょう. ストレス・マネジメントとして,トラブルに見舞われたとき,いったんそこで立ち止まって考えましょう.前向きになれずとも,無難な対応でその場から逃げるという手も,生きていく上では必要です.上手い具合に前向きに善処できれば,自分の対話スキルが向上したと喜びましょう.
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応用編:ブログ・サイト交流を始める時の注意 |
<自分発・ネット配信を始める時の注意>
※ブログの始め方やメリットは,次のページに分けました(2008/04/12).
ここでは他の人のブログ・SNS・掲示板などに参加する時の注意点を先に挙げます.
★ネット・ブログ用のハンドルネーム・メールアドレス(Yahoo!メールやGmailなど)を用意する.
(フリーメールもOutlookに転送可能.個人情報につながらないネーム・アドレスが良いです)
★ブログや掲示板めぐりをして,各ネットコミュニティの様子をしばらく見ましょう.
共感の持てる相手,対応が丁寧なコミュであれば,コメントして意思疎通を図ってみましょう.
※掲示板などでメアドは公表しない方が良い.
なりすましメール・迷惑メールの被害者にならないために.
トラブル・炎上で手に負えない時,掲示板やSNSコミュの管理人に直接連絡を取りましょう.
★自分もブログを始めたら,コメント・トラックバック受付は,「確認後に表示」を選ぶ.
(スパムコメントなどもあるので,自分で掲載可能か確認してから,公開しましょう.)
(スパムが多い場合,禁止キーワードや禁止IPなども設定してみましょう.)
★自分のブログのテーマは絞り込み,タイトルやカテゴリのテーマも統一しましょう.
(1つのブログにテーマは1つが良い.例)闘病記ブログ,ダイエットブログ,趣味ブログ等)
★コメントをもらった時は,必ずお礼のコメントを書き,相手のブログにも挨拶に行ってみる.
★いかにも広告コメント・トラックバックは表示せずに,内容を吟味して対応する.
★やたらめったら,コメント・トラックバックし歩かない.
(相手のブログ主旨をよく理解してからコンタクトを取りましょう.<Br>
「うちにも来てくださ〜い」的な常套句,好ましくありません)
★自分のブログ内で論争が起きたり,炎上してしまったら,コメント・記事を非表示などにする.
(コメント削除やブログ記事の非表示という機能があります)
(また自粛という術も身につけまましょう.自分のブログ・掲示板といえど,相手を非難する事は火に油を注ぐようなもの.
実社会でも向かない対話・コミュニケーションだと思ったら,ネットでも実行しない事が原則です)
随分たくさん書きましたが,私のブログ・サイト・掲示板の運営も失敗や挫折の連続です.うつ病発症時,私は考えるまもなく言葉を発していました. 当時はストレス過多で,自己主張せねば置いていかれる!という思いが先走っていたからでしょう.今では,いったん考えて,言葉を選ぶ事を心がけています.
インターネット・コミュニケーションには,良いこと悪いことが沢山あります.社会復帰を目指すなら,マナースキルの低下は避けたいですよね.相手に対し誠意を込める.もし相手に誤解されてしまったら,語弊を招いたことを陳謝しましょう.それから自分の伝えたい主旨を説明.少なくとも私は,そうやって相互理解できた信頼のおけるネット友達ができたと感じています.
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余談:私の怒涛のネット・リハビリ経験より |
ネットという予測不可能なストレス源の潜む環境にいるわけですが,リハビリ中の無理は禁物です. 突飛なトラブルによって衝撃が大きければ,しばしネットから離れましょう.うつ病の症状が悪化する程の衝撃なら,『寝逃げ』でやり過ごすのも構わないでしょう.傷が癒えてきたら,起きて散歩などネット以外の時間を持ってみましょう.(ネット依存にならない事も大切ですしね).
インターネットにはメリットもデメリットもあります.心的衝撃の大きいトラブルも稀にあるかもしれません.しかし,他人との付き合い方の練習場になることは確かです.ネット内には,メンタルヘルスに理解のある人の集まるコミュニティもあるので,最初は理解のある人たちとの遣り取りから慣らし運転をしてみましょう.
リハビリ期間が長めで,対人関係のトラブルシューティングの必要性があるなら,ネットはコミュニケーション・スキルを上げる叩き台になります.ですが,これはハイリスクなリハビリ手段です.鬱症状が不安定な方にはお勧めしません.
リハビリ中の方に率先してお勧めできませんが,ここでは私一個人の体験談として記録します.方法としては,メンタルヘルスと無関係のコミュニティへ参加することです.話題についていくため,自分の興味のあるジャンルにしましょう.趣味やあるいは仕事に多少関わるテーマでもいいでしょう.
相手はこちらが病気と知らなければ,気遣いなしにバシバシと厳しい事(言葉遣い)をするかもしれません.でも,想像してみてください・・・.実社会でも親切な人ばかりでなく,簡単な注意をするのに,まるで「罵倒」するような社会人もいます. ストレスがかかった時,ご自身がどう切り返せるか? ストレス・マネジメント,つまり前向き思考で善処することに専念することで,ストレス軽減を図ります.ネット上のトラブルが必ず起こるわけではありませんし,トラブルの起こらないコミュニケーションスキルを身につけることが1番大切です.ただ,想定外のトラブルを回避する努力で,培われるコミュニケーションスキルこそ,実社会に戻ったとき,役立つことが多いと思います.
私の場合は,根拠のない誹謗中傷や違法通報的な指摘をされて,随分と落ち込んだこともあります.鬱のどん底に落ちても,しばし時間を置いて,対処策を考えては寝逃げしたりするのです・・・.時には毅然とした対応が求められ理論武装が必要な時もありました.逆にこちら側が素直に陳謝したり,時には補足説明をして相手の真意を確かめる・・・あらゆる形でこちらの誠意を見せる努力をしました.
失敗やこれ以上のリカバリーは無理だな・・・というケースもありました.落ち込む度合も強いし,弱音を吐いたことも多々ありました. ですが,中には言葉選びや相手の主張の捉え間違いから,対人ネットトラブルが生じても,何とかリカバリー対応できたケースも多々あります.また,逆にコメントしたことで,温かいメールをくれる方もいたりと,励まされた事も沢山あります.思い返すと自分にはトラブル回避や,人に受け入れてもらえるコミュニケーション・スキルも身に付いているんだ・・・と自信になることもあります.
と偉そうな事を書いていますが,私自身,まだまだ,ネットコミュニケーションのトレーニングの段階です.トラブルというのは,想定外の所からやってくるのが当たり前.鬱のどん底に叩き落とされて,落ちたまま数日過ごすこともあります.現実社会にでたら,もっと世間は荒波だという事も想定しています.ですが,何もせずに,社会進出・復帰するよりは,画面越しの人たちとであっても,コミュニケーションの練習や,自己主張の方法,相手の意見の取り入れ方など,多くのことを練習できます.
これは心身ともに鬱のリバウンドリスクのある方法ではあります.ですが,ブログをはじめとするインターネットでリハビリの大きな収穫だとも考えています.でも1番大事なのは心身の健康です.無理は禁物ですよ.
■メッセージ内容の表示順番を入替え,一部加筆修正しました:2008年7月27日
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