うつ病は家族の理解を得て,適切な治療・リハビリを続けて行くことで治る病気です.
   治療の基本は「休養」と「投薬」です.
   症状が安定してきたら,リハビリを始めてみましょう.
   リハビリを始めても,焦らず・じっくり進みましょうね.

 

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うつ病の症状が安定してきたら,リハビリを始めよう

 うつ病の症状が安定してきたら,リハビリを始めてみましょう.まだ,鬱の波がある位の調子の場合は,ちょっとした・簡単な事でも,十分にリハビリの役割を果たします.三度,うつ病の治療ステップ図(Kupfer DJ.1991より)を使って説明します.

 緑色のうつ病 回復期は,急速に投薬の治療効果が得られ,抑うつ症状が回復してきます.ですが,天候の変化や,家庭・職場内でのストレス負荷が続いていたり,些細なことをきっかけに抑うつ症状というのは出てくることもあるものです.酷いストレス負荷が続けば,うつ病を「再燃」させてしまうので注意が要ります. ですが,うつ病は気分が良くなったり,落ち込んだりの『鬱の波』を繰り返しながら,回復していく病気でもありますので,直ぐに再燃・再発すると不安にならなくても大丈夫です.

 うつ病の症状が軽減されてきて,鬱の波も小さくなってくると,黄色い継続治療・再発予防療法の時期に入ると考えられます.ですが,ここでも無理は禁物です.うつ病の回復期から再発予防療法期まで,無理しないようにリハビリを始めましょう. 大半の心の病の場合,特に体力も集中力も低下しているので,今の時点で『簡単に出来るリハビリ方法』を模索しましょう.

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 これは良書ですが,いきなり頑張って読むのは大変です.これはむしろ,学校・会社のメンタルヘルス担当者さんにまず読んでもらうと助かる本でしょう.
第I部 メンタル不調の基礎知識
 第1章 主な症状と病名,原因について
 第2章 ストレスとの関係
第II部 “うつ"をこじらせない工夫
 第3章 要支援者への支援導入
 第4章 休学・休業に入ったら
 第5章 睡眠時間が安定してきたら
 第6章 午後からの外出が出来るようになってきたら
 第7章 午前中からも外出が出来るようになってきたら
 第8章 模擬登校・出社が出来るようになってきたら
 第9章 復帰可能と主治医から判断されたら
第III部 メンタル不調の予防編
 第10章 “うつ"に“ならない"工夫 -ABC-
 第11章 “うつ"を“出さない"工夫 -DEF-
 第12章 支援者教育のあり方 - 3Gとは-
 第13章 ストレス解消に効果ある健康増進支援 -I-
第IV部 疾患別対応編
 第14章 疾患鑑別法と効果的な投薬治療
 第15章 発達障碍
 第15章 不安障碍

うつ病リハビリポイント>
 ★朝起きて,食事を規則正しく取り,夜に寝れますか?
 ★15時以降の昼寝をせずに済みますか?
 ★散歩や買い物など外出する機会はありますか?
 ★趣味などやりたい事はありますか?


 一つ一つ,チェックしていきましょう.

 ★起きれる時間が短い,午前中は起きれない人は,焦らず休息に専念しましょう.回復してくると,徐々に起きれる時間も長くなります.体内リズムを整えるため,一旦は朝に目覚ましをかけ,目覚める事を心掛けましょう.起きた後,辛かったらまた寝ても構いません. 起き続けれるようになっても,する事がなくてゴロゴロしても構いません
 
 ★徐々に気が向いて,テレビや新聞,インターネットや読書など,机に向かえるようになったら.午前中に起きて,食事を取り,何か活動し,家族と会話するなど,日常的な生活習慣・リズムを作っていくのが,リハビリの第1段階です

 ★昼寝に関しても生活リズムを整えるうえで,15時以降は寝ないようにしましょう.これも1つのリハビリです.夜間の睡眠の質をよくするためにも,昼寝は少ない方がいいです.でも,回復初期は無理は禁物ですので,辛い時は休息して構いません(^ω^).


 ★うつ病治療の基本は休息ですが,思っている以上に,体力が低下しているものです.日中起きている時間が長くなり,外に出れるようになったら,近所の公園などで,軽めの散歩・運動をしてみましょう.最初は短い距離で構いません.毎日やらなくても構いません.体調の良い日に,疲れすぎない程度で軽く体を動かすことがステップアップに繋がります.


 ★また,うつ病によって集中力・意欲も低下してしまいます.症状が回復してくると,趣味など何かやってみようと意欲が出ます.ここで次のリハビリステージに進みましょう☆ 生活リズムや体力づくりの時間以外に,起きて活動できる時間を設け,趣味を取り入れましょう.釣りが好きなら,直ぐ出かけるわけでなく,趣味(釣り)の雑誌などに目を通すことや,テレビで番組を楽しむといったことも,『楽しむ』という感情が刺激されるので,リハビリとして十分な効果があります


 継続的なリハビリと平行して,ポジティブな考え方やストレス・マネジメントを心がけましょう.働く人(部下・上司関係なく)には『ワーク・エンゲイジメント ポジティブメンタルヘルスで活力ある毎日を』のようなテキストは有用だと思います.
 なお,必要であれば医師と相談して,後述する認知行動療法を取り入れ,日頃の考え方を見直すことも一つの方法です.頭でイメージし,良い対応策を身につけることが大切です.  

 毎日規則正しい生活ができるようになり,体力や集中力なども回復してきたら,社会復帰・社会進出にむけたリハビリを始めます. 最初から直ぐに復職しようと,ハイペースなリハビリは危険です! うつ病は再燃・再発しやすい病気だから.慎重に焦らずいきましょう.例えば,通勤時間に合わせて,バスや電車に乗ってみる.勤務時間に合わせて,図書館などで数学や事務的な計算処理をしてみる(頭・神経を使う作業は,疲労度が高いので脳内エネルギーである糖分補給が追い付かないこともあります.この回復度は復職前によく見極めましょう).対人恐怖などの症状が軽いようなら,ご近所さんに会った時,素通りするのでなく挨拶をしてみる.こういった小さなリハビリ目標達成の積み重ね,復職やアルバイトリハビリに備えましょう.



<私のリハビリ過程>
 私の場合,まずは父(当時69歳)の散歩に同行することからリハビリを始めました.父は高血圧予防のダイエットのために,朝・夕の2回散歩に出かけていました.コースも短距離から長距離,山あり谷ありコースとあったので,うつ病の自分にとっても,体調に合わせて散歩コースを変えてもらえることができ,公園の草花や空の写真などを撮りました.(でも余所さまのお宅の写真などは撮らないででくださいね.プライバシー侵害になりますから.公序良俗に反する行為は慎みましょう).

 学生時代はサイト作りが趣味でした.簡単に始めれるブログで,散歩で撮った写真や闘病記をつけ始めました.更新頻度が私のリハビリのバロメーターになります.天気が悪くて体調不良のときは更新できませんし,調子が良ければ,散歩もしてブログ更新もできます.趣味に熱中しすぎて,睡眠のリズムを崩さないようにしましょうね(笑)

 またこの年夏に,母が骨折と糖尿病のために入院したことで,調理・家計管理という強制的なリハビリが始まりました.家事というのは,家計の計算をして,栄養の管理もしなくてはなりません.頭も使いますし買い物で体力も使います.家計の管理というのは,うつ病のリハビリにいいと感じました.ただし燃え尽き症候群に落ちるので,無理は禁物です.

 2007年正月を迎え,急なトラウマフラッシュバックを起こして,酷い鬱のどん底に落ちました.投薬内容も強めにし,1月はほとんど寝ていました...新年にはバイト・派遣に向けて資格を取ろうと思っていたのに,勉強できずに焦りました.ですが,焦りはうつ病治療で禁物です!自分を追い詰めないようにしてゴロゴロする毎日を過ごしました(バロメーターのブログ更新も無理せず減らしました).春先になって,徐々に活動的になってきた感じです.




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【職場復帰を成功させる重要な4つの要素】
1.生活リズムの回復
2.身体的体力の回復
3.思考能力の回復
4.ストレスを抱え込みやすい自分の性格への気付き







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